4号機の思い出~獣王~逆押しでリプレイ取りこぼしたり

ボーナスの連荘が実現!?

2000年の年末か2001年初頭、獣王がホールに導入される直前のパチスロ雑誌には
ボーナスの連荘が合法的に実現したような記事が巻頭に掲載されていた。

当時、通常時をすべてRTとして意図的にボーナスの放出タイミングを制御するストック機は登場しておらず、ノーマルAタイプ以外では大量獲得機やART機が登場したばかりだった。

ボーナスの連荘など4号機の仕組みでは実現できないはず。
少しすると、連荘するのは小役が毎ゲームのように揃うサバンナチャンス(SC)であること、通常時は小役がほぼ毎ゲーム成立しており、ナビに従うことで小役をすべて奪取できる仕組みが公表された。

実際には半年以上前に導入された「ゲゲゲの鬼太郎SP」にATが搭載されていたが、この機種では左リール3択の9枚役がナビされるだけであったため、AT中のコインの増加はわずかであった。
パチンコにおける時短のような位置づけだ。

獣王では小役を全リールの目押しを必要とする12択に細分化したことで、払い出しを15枚、成立頻度もほぼ毎ゲームにすることができ、ハズレをほぼ無くしてナビに従えば高い純増枚数が得られる仕様を実現した。

それぞれの12枚役はリール配列上同時に狙うことができない絵柄の組み合わせなので、ナビがない通常時は1/12でしか揃えられず、実質的に15枚役は1/14.3程度でしか揃えられなかった。

ポイントは、このナビがボーナスや小役の抽選を制御するメイン基板ではなく、演出を制御するサブ基板によって行われたいたことである。

つまりサバンナチャンスはボーナスでも何でもなく、サブ基板が「何か押し順のようなもの」を表示させているだけの通常時である。

サブ基板の演出頻度や演出の発生パターンはボーナスや小役の抽選動作自体には関係ないので、当時は型式試験における検査の対象とはならなかった。

サブ基板はメイン基板から成立フラグを受信することができるが、メイン基板に対する入力方向の通信は禁止されており、型式試験でも厳しく検査される。これは、外部からの信号による大当たり(遠隔)を防止し、抽選をメイン基板に閉じ込めるための仕組みである。

現在でも、メイン基板で抽選を行い、サブ基板がメイン基板から受信した情報によって演出を表示する仕組みは変わっていない。メイン基板への入力が厳しく制限されているのも変わっていない。

獣王ではメイン基板で成立した12択の15枚役をサブ基板が受信し、狙うべき図柄を表示する。
そのため、演出用パネルに何が表示されていても、メイン基板からの一方通行の出力を受けてサブ基板が演出を表示するという原則には全く違反していない。

SCの連荘は単なる演出の連荘であり、抽選自体そのものの仕組みを変動させているわけではないのだ。

かくして、サブ基板では何をしてもよいという解釈に各メーカーが便乗し、爆裂AT機の時代に突入したのだ。

大まかなゲームの流れ(設定1-5)

BIG後の高確率状態中に純ハズレ(約1/200)を引き、さらに1/4.65(設定1)~1/1.65(設定5)に当選すると10G or 30GのSCに入る。振り分けは1:1。ざっくり言うと100枚or300枚だ。

SC当選時は連荘回数が1-29連の間で決定され、平均は5連(設定2,4)、6連(設定1、3,5)。20連以上の割合は奇数設定でも2%強。

偶数設定は当たりやすい代わりに連荘回数の振り分けが少な目で、奇数設定は当たりにくい代わりに連荘性能が高い。

なお高確率状態以外で純ハズレを引いてもほとんど期待できないし、当たってもほとんど連荘しなかったので、とにかくBIG終了後の高確率状態での純ハズレがアツかった。

SC高確率状態は主にBIG後に突入し、リプレイやチェリーで転落抽選が行われるため、特にリプレイを引くと落ちるなと祈ったものだ。プレイを休めると発生するデモのランプの光り方で高確率状態を判別する方法もあった。

大まかなゲームの流れ(設定6)

設定6のみ純ハズレ確率が1/243と設定1-5よりも悪かったものの、SC高確率、低確率に関わらず1/1.08と90%以上の確率でSCに当選する。その代わり連荘はあまりせず2/3は単発、1/3で3連荘する。それ以上の連荘はごくわずか。

しかし順ハズレを引けばほぼSCに突入するため、BIG、REGとは別に1/260程度で当選する第三のボーナスが搭載されているようなもので、非常に安定した出玉が得られた。

ただし逆何万枚もの大爆発をすることもなく、終日打てれば安定して1万枚程度のコインが得られる挙動であった。

設定6のみほかの設定とは挙動が大きくことなるため、最初の純ハズレでSCに突入した場合は設定6の可能性が高く、順ハズレからのSC突入が2-3回も続けばほぼ設定6であると判断できた。

獣王導入直後

導入前から雑誌などで大きく取り上げられていたため、導入直後の獣王のシマは非常ににぎわっていたと記憶している。

稼働が良ければ、低設定でもSCの大連荘を引く打ち手も現れる。最大の29連荘でも引けば、大体6,000枚程度のコインが得られるわけで、これまでのAタイプでは見られないようなドル箱の積み上げが見られた。

ただし、そのような盛り上がりは導入当初とイベント日だけ。
しばらくすると、特に地方の過疎店での稼働はサッパリだったと記憶している。

そもそも獣王のBIGボーナスはしっかり400枚出る仕様で、設定1の確率も1/439とそれほど悪くない。つまり機械割を100%程度に抑えようとするとSCに割り当てられる余裕はそれほどないのだ。

それはSC突入条件を見れば分かることであり、BIG後に平均100G程度しか継続しない高確率状態で、1/200の純ハズレを引き、設定1だとさらに1/4.65に当選しなければSCには突入しない。

ざっくりいうと、1/1000近いレアな抽選を限られた期間内に引かなければいけないということだ。

設定1だと、SC初当たり回数の平均は3回以下だろう。
雑な計算だが、BIGを20回引けば高確率状態が2000G程度発生し、その間に1/200の純ハズレのさらに1/4.65を引けるのは2-3回程度ということだ。

成立役が分かりやすい逆押しを単純作業としてひたすら続け、通常時なのにリプレイ外しを実施してしまったりしたのが懐かしい。

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